やさしいあなたに、そうでないあなたにも。
                        いろんなあなたに、こころの言葉。













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名 前/maruzoh こと 熱田丸蔵
出没地/和光、富士宮、麹町
誕生日/9月7日 乙女座
好きなもの/こども、詩、絵、童話、小説、音楽、お酒、美味しいもの、犬、野球、寺、神社、花、ギター、家族
とても影響を受けた人/灰谷健次郎さん、鹿島和夫さん、ドン・カ・ジョンさん、かしわ哲さん、PANTAさん、ジョン・ライドンさん、小澤征爾さん、帚木蓬生さん
maruzohより一言/運も、人も、夢だって、欲しがり過ぎると逃げてっちゃう。幸せは、み〜んな天下のマワリモノ。みんなで仲良く分け合おう♪

2011年02月25日

お取り寄せ救世主 第28回


お取り寄せ救世主 第28回


「ほ、北北東の猫のミーコに、4桁くじ、113万円・・・」

妻が、今度は、声を殺して呟いた。
行方知れずの猫の捜索願いや借金の無心。
果ては、宝くじの当選番号の予測の依頼。
架かってきているのは、五十嵐と名乗る男の言う通り、
訳の判らない身の上相談、まさに、それらだった。

「確かに、ここ数日に渡って、架かってきてるらし・・・
い、いえ、架かってきてます。
ええ、架かってきていますとも・・・」

電話の向こうの五十嵐が嘆息するのが微かに聞こえ、
五十嵐はこう続けた。

「そうですか、やはり・・・
重ね重ね誠に申し訳ないのですが、
それは、恐らく夜間・・・、
午後7時以降に集中していると思われるのですが、
実際のところ、如何なものでしょうか?」

そう言えば、さっきの電話も夜だし、
飯山君は、昼はバイトをしていると言っていた。
ここは、適当に話を合わせておいた方が良いだろうし、
私は、曖昧に応えておくことにした。

「た、確かに、そうかも知れないですね」

「やはり・・・」

五十嵐は想像以上に常識があり紳士的であったし、
懸念していたカルト的なところや心霊商法的なところも無い。
だいぶ雰囲気に慣れてきた私は、
妻と目配せをして本題に入ることにした。
飯山君がトイレから戻る前に話を終わらせねばならないのだ。
彼が、逃げ出していなかったら、の話だが。

「で、早い話、
これまでの迷惑電話の数々ってのは、
お宅の救世主の教会が原因だったって訳なんですね」

五十嵐は、苦り切ったような口調で応える。

「はあ・・
誠に申し訳ございません。
仰る通りでございます。
責任の所在は、全て当教会にございます。
本日、その原因が判明しましたので、
早速、再発防止の手段を講じさせて頂きました。
今後は2度とこのようなことはございませんので、
平に、平に、お許し頂けるようお願い申し上げます」

まるで電話口の向こうで、まさに平身低頭、
土下座でもしているのではと思うほど丁寧に
五十嵐は誠心誠意っぽく詫びているのだが、
こちらとしては、ただ単に謝られても
なんら謎が解ける訳でもないので面白くも何ともない。

「で、その判明した原因ってのは、何なんですか?」

五十嵐が口籠った。

「こ、これは内部的な問題でございまして。
今回は、ご勘弁を・・・・、はい」

先程の飯山君への対応でお気づきかもしれないが、
実は、私という人間は極めて小心者で、
ガツンと頭ごなしに言われると臆病風を吹かしてしまう癖に、
相手が自らにとって脅威を感じない対象と判断し、
尚且つ危害を加える恐れも無く、更に逃げの姿勢に入ったと判断するや、
これが急転直下、とんでもなく横柄に転じてしまい、
ついつい必要の無いところまで深追いしてしまう悪癖があるのだ。
それに、見栄っ張りなのだろう。
特に周りの目を気にして格好をつけたがるので、
相手が弱腰になるほどに横柄度はどんどんエスカレートしてしまい、
「しまった、やり過ぎた・・・」
と気づいた時にはフォローも収拾をつけることもできず、
後は野となれ山となれと、全てを放り出してしまう。
この性質(たち)の悪さが、私の重大な欠点であることは、
自らも重々承知しており、過去においても
驕りや悪乗りが過ぎての失敗談なども数多いのだが、
ついついこんな場面でも、それが顔を出してしまうようだ。

「それは、おかしいんじゃない、五十嵐さん?
だって、被害を被ってるのはこっちなんだよ。
しかも、こんな深夜に電話なんかしてきて、
ただ謝られたところで納得なんてできるわけないじゃない?
大体において被害者の私たちには、
知る権利ってもんがあるんだしさぁ」

「私・・たち?」

「いや、私ね、私。一人称単数。
そ、そんなことは、どうでもいいんだよ。
兎に角、私はね、知りたいの、真相を」

「い、いや、それが・・・」

「いい加減にしないとね、あんた。
出るとこ出て、白黒つけたっていいんだぞ。
それとも、お宅の教会は、赤の他人に迷惑かけまくっといて
説明責任も果たさないカルト教団だとでも、
マスコミにリークしてやろうか?
そうだ、埼玉新報に知り合いがいたんだった。
ああ?五十嵐さん、どうすんだよ?」

五十嵐は、暫く黙ってから、トーンを落として言った。

「わかりました・・・
貴方様のご立腹もごもっともでございます。
身内の恥を晒すようですが、お話しさせていただきます」

《つづく》




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 現代小説 お取り寄せ救世主

posted by maruzoh at 09:04| Comment(0) | ◆お取り寄せ救世主 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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