やさしいあなたに、そうでないあなたにも。
                        いろんなあなたに、こころの言葉。













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名 前/maruzoh こと 熱田丸蔵
出没地/和光、富士宮、麹町
誕生日/9月7日 乙女座
好きなもの/こども、詩、絵、童話、小説、音楽、お酒、美味しいもの、犬、野球、寺、神社、花、ギター、家族
とても影響を受けた人/灰谷健次郎さん、鹿島和夫さん、ドン・カ・ジョンさん、かしわ哲さん、PANTAさん、ジョン・ライドンさん、小澤征爾さん、帚木蓬生さん
maruzohより一言/運も、人も、夢だって、欲しがり過ぎると逃げてっちゃう。幸せは、み〜んな天下のマワリモノ。みんなで仲良く分け合おう♪

2011年02月16日

お取り寄せ救世主 第23回


お取り寄せ救世主 第23回


「それで納得だわ。
だって、メシヤマちゃんのお母さん、美人過ぎるって言うか、
綺麗さが、芝居掛かっててさり気ないのにプロっぽいんだもの・・・」

言われてみれば、妻の言う通りだ。
写真のお母さんは、飛び切り綺麗なのに実に優しそうで、
家庭的なのにそのくせ洗練されていて、
誰もが夢見る、まるでホームドラマに出てくるお母さんみたいだ。

「こんなに綺麗な人だったなら、
お父さん、さぞかしライバルが多かったんでしょうね」

飯山君は、そんな妻の言葉を肯定するでも否定するでもなく、
左右にゆっくりと、ゆあーんゆよーんと揺られたまま、話しを続けた。
そう、寝間で幼子に、昔話を語り聞かせるみたいに。

「僕も、直接は知らないんです。
母は、その頃のことを僕には話したがりませんでしたから。
でも、父から、母には内緒だよって、僕が聞いた話では、
若い時分、母は小さな旅芝居の一座にいて、
全国を転々と巡業していたということでした。
母は6人兄弟の4番目で、貧しい家庭に生まれ育って、
ろくな教育も受けさせてもらえませんでしたが、
小さい頃から歌や踊りが好きだったんだそうです」

「お母さん、産まれは? 
宇都宮・・じゃないよね?」

私の質問に飯山君はゆっくり頷き、
左右のゆっくりな揺れに更に縦揺れが加わり、
飯山君の上半身は、実に複雑な軌道で旋回をした。

「母の産まれ故郷は、山梨県の大月です。
大月の巡業に来たその旅芝居の一座に、
家出同然で加わったのが、17の時だったそうです」

「お母さん、あれだけ綺麗だったんだから、
一座の花形スターだったんでしょう?」

「はあ、父はそう言ってましたが、
当時の写真は、1枚として残っていないんです。
ですから、実はこの話、
全て父を通しての又聞き、受け売りなんです。
母には、もう今となっては聞きようもないですし・・・」

「えっ? もしかして、お母さん・・・」

飯山君の答えは、やはり想像の通りであった。

「はあ、亡くなりました。 もう、4年になります・・・」

「まだ、お若かったんだろうね」

「僕が産まれたのが、母が21の時でしたからね。
まだ42で逝ってしまいました」

私と妻は、どちらともなく目を合わせて、
暫くの間、会話が途切れた。

「お母さんがお父さんと出会ったのは何歳くらい?」

飯山君にそう語った妻の声は、
さっきまでとはまるで別人のように、静かで、優しげだった。

「それが・・・」

そう言ったきり、飯山君は、唇を噛んで俯いていたが、
意を決したように顔をおもむろに上げて、
私たち夫婦を下から覗くようにして見据えると、
ポツリと、一言だけ言い放った。

「21だそうです」

「あら、随分と・・・、
じょ、情熱的な出会いだった訳ね」

妻は、精一杯気を使って、言葉を選んでいるようだが、
出会い頭のできちゃった婚といったところなのだろう。
ところが、飯山君の次の言葉は、
私たちのそんな下世話な憶測を蹴散らしてしまうほど、
意外なものであった。

「い、いえ・・・
母の三回忌に宇都宮に帰った晩、
父が酒を飲みながら、僕に打明けてくれたんですが・・・

母は・・・
父と出会った頃の母は、
既に、僕を、身篭っていたそうです・・・・」

《つづく》




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 現代小説 お取り寄せ救世主

posted by maruzoh at 08:30| Comment(0) | ◆お取り寄せ救世主 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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