やさしいあなたに、そうでないあなたにも。
                        いろんなあなたに、こころの言葉。













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名 前/maruzoh こと 熱田丸蔵
出没地/和光、富士宮、麹町
誕生日/9月7日 乙女座
好きなもの/こども、詩、絵、童話、小説、音楽、お酒、美味しいもの、犬、野球、寺、神社、花、ギター、家族
とても影響を受けた人/灰谷健次郎さん、鹿島和夫さん、ドン・カ・ジョンさん、かしわ哲さん、PANTAさん、ジョン・ライドンさん、小澤征爾さん、帚木蓬生さん
maruzohより一言/運も、人も、夢だって、欲しがり過ぎると逃げてっちゃう。幸せは、み〜んな天下のマワリモノ。みんなで仲良く分け合おう♪

2011年01月30日

お取り寄せ救世主 第16回


お取り寄せ救世主 第16回


なんという厚顔無恥。
あまりにも自分勝手。
まさに自己中心の極み。
つまりは、自分さえ良ければ全てオッケーな訳で、
世界はおろか、宇宙や、時間をも
この自分を中心に回っていると妻は考えているらしいが、
朴訥、実直に見せかけて実はジコチューという輩が多い昨今、
ここまで大らかな身勝手であれば、むしろ清々しい。
私は、そう思う。

「ねえねえ、メシヤマちゃん。
どう? さっきの、名づけて『奇跡モニター作戦』」

奇跡モニター作戦・・・
恐らく、ふと閃いて、「これだ!」との思いが、
キューセーシュノの飯山君への怒涛の背中連打に繋がったに違いあるまい。

そもそも、妻が太っているのは、白米が堪らなく好きな上、
摂取したカロリーに比し消費カロリーが遥かに下回っているからであり、
簡単に言えば、大飯喰らいな上に、極度のものぐさが原因である。
妻のこの、不遜かつ傲慢なくせに面倒なことは他人任せな性格が、
過去、体重の増加を促してきたのは明らかではあるが、
妻には、それを反省しようであるとか、改善してみようであるとか、
そのような思いは皆無と言って差し支えないほど、無い。
妻にも妻なりの人生におけるルールがあるのであって、
その1つが、「自分に正直に、ありのままに生きる」、
つまりは、結婚して私という安住の地を手にした今となっては、
もう決して努力などしない、ということなのである。
でも、考えようによっては、そんな妻が実にいじらしく思えるのは、
世界で私だけだろうか・・・

しかし、妻の奇跡の捕らえ方に関しては、これは安直と言わざるを得ない。
新約聖書『使徒行伝』第九章にもある奇跡とは、
盲目の男の眼をキリストが一瞬にして治癒したものであるが、
本来奇跡たるものは、人間自らの力では到底及ばないことを
神の御業において為すものであるはずなのだが、
妻の場合においては、ただ食らう飯の量を減らし適度な運動をするという、
ただ普通に節制するというだけの誰しもが送る日常生活を無理矢理、
「自らの力では到底及ばない」奇跡にまでハードルを下げてしまい、
これを神様にやらせようってんだから始末が悪いったらない。

大体、それ以前の問題として、彼、キューセーシュの飯山君は、
妻が言うとおりの本当に当選確実な救世主で、
妻が期待するほどの奇跡など起こせるものだろうか。
何度も繰り返すようだが、私には、どう考えてもそう思うことができないのだ。

「民子、ちょっと待てよ。
お前は、飯山君のことを、救世主だって決め付けてるけど、
本当にこの飯山君が、奇跡を起こすと思ってるのか?」

妻の顔が一瞬にして曇り、私の顔を下から睨めつけた。
しかも、それが例の揺れるテーブルの上で三白眼気味に
ゆあーんゆよーんとしているものだから、我が妻ながら、空恐ろしい表情である。

「あ、あんた、まだそんなこと言ってるの?
さっきの北北東の猫のミーコに、4桁くじ、113万。
16万分の1の確率を忘れちゃった訳じゃないでしょ?」

「いや、忘れちゃいないさ。
でも・・・」

「でも、何よぉ?」

妻はまたひとつ身を乗り出して、
つまらないこと言うんだったらただじゃおかないと言う風に
よりゆあーんゆよーんとさせながら凄んで見せた。

「でも、お前が奇跡と呼んでいるのは、
今までで、その2つっきりだろう?
しかも、その2つは、この1時間におきたばかりだ」

「そ、それは・・・」

「確かに、飯山君が救世主として覚醒したのは、
訳の分からない電話が掛かり始めた
ここ最近のことなのかもしれないよ。
しかし、もし飯山君が本当の救世主だとするなら、
この世の中のを救う為に降臨してきたんだから、
覚醒する前に何らかの天啓を受けるだとか、
過去の人生において、自らが救世主であることを
示唆、暗示させるような象徴的な出来事が、
あって然るべきじゃないのか?」

ゴクリと、妻が唾を飲み込む音が聞こえた。
その顔は、恐らく、そう言われてみればそうかも、と、
思っているに違いない。

「で、正直なところ飯山君・・・」

「天啓、あったの?なかったの?
ねえ、どうなのよ?」

私たち夫婦は、私、妻の順で、
強張ったキューセーシュの飯山君の顔を、覗き込んだ。

《つづく》




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 現代小説 お取り寄せ救世主

posted by maruzoh at 07:41| Comment(0) | ◆お取り寄せ救世主 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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