やさしいあなたに、そうでないあなたにも。
                        いろんなあなたに、こころの言葉。













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名 前/maruzoh こと 熱田丸蔵
出没地/和光、富士宮、麹町
誕生日/9月7日 乙女座
好きなもの/こども、詩、絵、童話、小説、音楽、お酒、美味しいもの、犬、野球、寺、神社、花、ギター、家族
とても影響を受けた人/灰谷健次郎さん、鹿島和夫さん、ドン・カ・ジョンさん、かしわ哲さん、PANTAさん、ジョン・ライドンさん、小澤征爾さん、帚木蓬生さん
maruzohより一言/運も、人も、夢だって、欲しがり過ぎると逃げてっちゃう。幸せは、み〜んな天下のマワリモノ。みんなで仲良く分け合おう♪

2011年01月11日

お取り寄せ救世主 第2回


お取り寄せ救世主 第2回


白米がその大半を占める白っぽい夕餉を終えて、
私たち2人は、差し向かいで茶を飲んでいる。

神頼みをする・・というより、正確には神様を取り寄せることが、
既に決定事項となってしまった通販の救世主について、
私は妻にその詳細を聞いたのだが、これがどうにも要領を得ない。
よくよく質してみると、いつもの如く、完全なる衝動買いであり、
ろくに解説や支払条件さえ理解していない上に、
あれだけ強硬に、飯粒を連射しながら駄々をこねた訳である。
実は、もう、ちゃっかりと申し込み後の事後承諾であった。
しかも、それが集合ポストに不法に投函されたチラシで、
電話を架けたその後で、それを捨ててしまったと言うから恐れ入る。

「大体においてね。
こういった宗教とか神霊がかっていて、
実態があやふやで、費用対効果が計れないモノってさ、
法外な料金設定っていうケースが多いんだよ。
まだクーリング・オフの期間内だし、あまりにも高いようだったら、
これは、もう、すぐキャンセルだからな」

私の事態を先回りをしたような口ぶりが気に入らなかったのだろう。
妻は、また、不貞腐れた様に口を尖らせて、
まだ知りもしない神様の肩を持ったのだった。

「もう、判ってないわねえ。
あんただって、鰯の頭も信心からって諺、
知らないわけじゃないでしょ?
信じることが大事なのよ。
この生活空間内に、不信心な不届き者がいるとね、
対象たる私へのご利益が、どんどん失われていくのよ。
いい?分かる?
つまりね、疑った時点で、もう、負けなのよ、負け。
信じる者は、救われる〜っ、ってね」

最後の1行、妻は賛美歌もどきの節をつけて歌ってみせた。
この妻の開き直った能天気な阿呆さ加減が、
実は、私は嫌いではない。
まさにこの前向きなアバウトさは、
私がほぼ持ち合わせていない部分であり、
結婚後に知った妻の良き一面でもあるのだ。
しかし、そこは現実派路線を行く堅実な私のこと、
全てを見逃して、迎合する訳にはいかない。
凸凹なお互いが主張しあってこそ、
私たち夫婦という両輪が回っていくと私は信じている。

「信じる、信じないは、別にして、
我が家の経済状況というのもあるだろ?
別にケチってるわけじゃないんだ。
家計が破綻してしまったら、元も子もないってことさ。
だって、神様って言うからには、そら、たいしたモンの筈だ。
何たって、神様なんだから。
我々一般市民とは、当然に違う訳だ。
その神様が、誰かの縁結びとか、他の用事をさておいてだな、
ウチにだけ、特別にいらしてくれるっていう設定なんだぞ。
求人情報誌や折込チラシを見たって、
時給800円や900円なんて、ざらにあるだろ?
我々人間でさえ、そうなんだ。
それを、神様1人独占しといて、時給1000円ってこたぁ、
どう考えたってあり得無いだろ?
仮に、神様のバイト代が時給2000円だったとしよう。
1日24時間寝泊りするだけで、48000円だぞ。
それが、1週間も滞在されてみろ、ええと・・
さ・・33万と6000円!
ダイエットどころか、これじゃあ、米も買えんぞ」

しかし、妻は、あくまでポジティブかつアバウトに自信満々だ。

「あんたも、意外と頭が悪いわねえ。
相手は、落ちぶれてバイトをしてるとは言え、
曲がりなりにも、神様なのよ、神様。
確かに人間界の魚屋さんじゃ、野菜は売ってないし、
外科医に歯痛は治せやしないわよ。
でも、あんたが言うとおり、相手は神様、大したモンなのよ。
人間如きに『金運の方も何とかしてよ』って詰め寄られて、
もじもじしながら畳に指でのの字を書きながら
『私の専門はダイエットで、それ以外はちょっと・・・』だなんて、
そんな恥ずかしいこと言ってる能無しの神様なんか、
いると思う?そんなの、いやしないわよ。
きっと、33万6000円払ったとしたって、
十分おつりが来るってのが、神様の神様たる所以なのよ」

「そ・・、そうかなあ・・・」

「そうよぉ。
そうに決まってるわ」

妻にとって実に都合のいい神様像に
私が、反論しようと腕組みしながら首を傾げた時、

ピィン ポォーン

玄関のチャイムが、気のせいかいつもより
なぜか荘厳に、鳴り響いたのだった。

《つづく》




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 現代小説 お取り寄せ救世主

posted by maruzoh at 09:28| Comment(0) | ◆お取り寄せ救世主 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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